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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

水入に在る水ではない。五六輪の豆菊を挿した硝子の小瓶を花ながら傾けて、どっと硯の池に落した水である。さかに磨り減らした古梅園をしきりに動かすと、じゃりじゃり云う。高柳君は不愉快の眉をあつめた。不愉快の起る前に、不愉快を取り除く面倒をあえてせずして、不愉快の起った時に唇を噛むのはかかる人の例である。彼は不愉快を忍ぶべく余り鋭敏である。しかしてあらかじめこれに備うべくあまり自棄である。

机上に原稿紙を展べた彼は、一時間ほど呻吟してようやく二三枚黒くしたが、やがて打ちやるように筆を擱いた。窓の外には落ち損なった一枚の桐の葉が淋しく残っている。

「一人坊っちだ」と高柳君は口のうちでまた繰り返した。

見るうちに、葉は少しく上に揺れてまた下に揺れた。いよいよ落ちる。と思う間に風ははたとやんだ。

高柳君は巻紙を出して、今度は故里の御母さんの所へ手紙を書き始めた。「寒気相加わり候処如何御暮し被遊候や。不相変御丈夫の事と奉遥察候。私事も無事」とまでかいて、しばらく考えていたが、やがてこの五六行を裂いてしまった。裂いた反古を口へ入れてくちゃくちゃ噛んでいると思ったら、ぽっと黒いものを庭へ吐き出した。