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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

と思った。

世の中は「これは」と思った時、引き返せぬものである。高柳君は蹌踉として進んでくる。夫婦の胸にはっときざした「これは」は、すぐと愛の光りに姿をかくす。

「やあ、よく来てくれた。あまり遅いから、どうしたかと思って心配していたところだった」偽りもない事実である。ただ「これは」と思った事だけを略したまでである。

「早く来ようと思ったが、つい用があって……」これも事実である。けれどもやはり「これは」が略されている。人間の交際にはいつでも「これは」が略される。略された「これは」が重なると、喧嘩なしの絶交となる。親しき夫婦、親しき朋友が、腹のなかの「これは、これは」でなし崩しに愛想をつかし合っている。

「これが妻だ」と引き合わせる。一人坊っちに美しい妻君を引き合わせるのは好意より出た罪悪である。愛の光りを浴びたものは、嬉しさがはびこって、そんな事に頓着はない。

何にも云わぬ細君はただしとやかに頭を下げた。高柳君はぼんやりしている。

「さあ、あちらへ――僕もいっしょに行こう」と歩を運らす。十間ばかりあるくと、夫婦はすぐ胡麻塩おやじにつらまった。

「や、どうもみごとな御庭ですね。