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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

高柳君はこの暗い所に淋しく住んでいる人間である。中野君とはただ大地を踏まえる足の裏が向き合っているというほかに何らの交渉もない。縫い合わされた大島の表と秩父の裏とは覚束なき針の目を忍んで繋ぐ、細い糸の御蔭である。この細いものを、するすると抜けば鹿児島県と埼玉県の間には依然として何百里の山河が横わっている。歯を病んだ事のないものに、歯の痛みを持って行くよりも、早く歯医者に馳けつけるのが近道だ。そう痛がらんでもいいさと云われる病人は、けっして慰藉を受けたとは思うまい。

「君などは悲観する必要がないから結構だ」と、ビステキを半分で断念した高柳君は敷島をふかしながら、相手の顔を眺めた。相手は口をもがもがさせながら、右の手を首と共に左右に振ったのは、高柳君に同意を表しないのと見える。

「僕が悲観する必要がない? 悲観する必要がないとすると、つまりおめでたい人間と云う意味になるね」

高柳君は覚えず、薄い唇を動かしかけたが、微かな漣は頬まで広がらぬ先に消えた。相手はなお言葉をつづける。

「僕だって三年も大学にいて多少の哲学書や文学書を読んでるじゃないか。こう見えても世の中が、どれほど悲観すべきものであるかぐらいは知ってるつもりだ」