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きんがでずに、なしのうまれたはなし

金が出ずに、なしの産まれた話

小川 未明

「童話文学」1930(昭和5)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,640 字 · 6 页

青空文庫

「五千年から、一万年ばかりですかな。」といいました。金持ちは、頭を振って、

「それじゃ、孫の代の役にもたたない。」と、ため息をついたのです。

「いや、若いことはないだろう。百尺ばかり掘り下げたら、いい鉱脈にぶっつかるような気がするが。」と、一人の坑夫は、自信ありそうにいいました。

そこで、その事業にかかることになりました。

いままで、さびしかった村は、急に活気づいて明るくなり、にぎやかになりました。煙突から、黒い煙が上がり、トロッコは、あちらの坂を音をたてて走りました。

しかし、地中の秘密や、人間の運命は、ひっきょう、だれにもわかるものでありません。一年とたたぬうちに、金持ちは、財産を費いはたしてしまいました。その時分から、いろいろな、金や、銅の気のある石が出てきました。

三人の坑夫も、いまここでやめてしまうのは、惜しいものだといいました。

「じゃ、もうあと一月。」

「あと十日。」

こうして、希望を追って無理の仕事をつづけるうちに、金持ちは支払いができなくなって、どこへか姿を隠してしまいました。昨日まで、走っていた、トロッコは止まる、煙は、煙突から立たなくなりました。