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きんがでずに、なしのうまれたはなし

金が出ずに、なしの産まれた話

小川 未明

「童話文学」1930(昭和5)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,640 字 · 6 页

青空文庫

村は、昔のように、さびしくなりました。村の人たちは不平をいいながら、ふたたびくわを取るようになりましたが、島からきた三人の男は、帰る旅費もなく、いつまでも、山の小舎に寝起きをしていなければなりませんでした。

「兄弟こんなめにあうくらいなら、くるんでなかったな。」

「おれは、いい仕事にありついたと思ってやってきたんだに……。」

「はやく、旅費だけでもかせいで帰りたいもんだ。」

三本は、顔を見合わせて、こんな話をしていました。そのうち一人が悪い疫病にかかりました。二人は夜も眠らずに看病しましたが、彼らも、感染して、三人は、まくらを並べて倒れると、苦しみつづけて、遠い故郷を夢に見ながら、とうとう、前後して、死んでしまいました。

村の人たちは、三人の坑夫の身の上を憐れに思いました。その死骸を山にうずめて、ねんごろに弔い、そこへ、三本のなしの木を植えたのでありました。

山の上を通って風は、なしの若木を吹きました。山の上を過ぐる雨は、なしの木の葉をぬらしました。こうして、月日は、たっていったけれど、なしの木には、花が咲きませんでした。

「この木は、花が咲かないな。」