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きんのわ

金の輪

小川 未明

「読売新聞」1919(大正8)年1月21~23日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,640 字 · 4 页

青空文庫

二

かなたを見ますと、往来の上を一人の少年が、輪をまわしながら走ってきました。そして、その輪は金色に光っていました。太郎は目をみはりました。かつてこんなに美しく光る輪を見なかったからであります。しかも、少年のまわしてくる金の輪は二つで、それがたがいに触れ合って、よい音色をたてるのであります。太郎はかつてこんなに手際よく輪をまわす少年を見たことがありません。いったいだれだろうと思って、かなたの往来を走ってゆく少年の顔をながめましたが、まったく見覚えのない少年でありました。

この知らぬ少年は、その往来を過ぎるときに、ちょっと太郎の方を向いて微笑しました。ちょうど知った友だちに向かってするように、懐かしげに見えました。

二

輪をまわしてゆく少年の姿は、やがて白い路の方に消えてしまいました。けれど、太郎はいつまでも立って、その行方を見守っていました。

太郎は、「だれだろう。」と、その少年のことを考えました。いつこの村へ越してきたのだろう? それとも遠い町の方から、遊びにきたのだろうかと思いました。

明くる日の午後、太郎はまた圃の中に出てみました。すると、ちょうど昨日と同じ時刻に、輪の鳴る音が聞こえてきました。