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きんのうお

金の魚

小川 未明

「面白倶楽部」1921(大正10)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,768 字 · 10 页

青空文庫

昔、あるところに金持ちがありまして、なんの不自由もなく暮らしていましたが、ふと病気にかかりました。

世間に、その名の聞こえたほどの大金持ちでありましたから、いい医者という医者は、いずれも一度は呼んで、みてもらいました。けれど、どの医者にも、その病気の名がわかりませんばかりでなく、それをなおす見込みすらつきませんでした。そのうちに金持ちはだんだん体が悪くなるばかりでありました。

そのとき、旅からきた上手な占い者がありました。その男は、過去いっさいのことをあてたばかりでなく、未来のこともいっさいを秘術によってあてたのでありました。

金持ちは、せめてもの思い出に、自分の不思議な病気についてみてもらうことにいたしました。占い者は、金持ちの病気を占って、いいますのには、

「こんな病気は、またと世間にあるような病気でない。どこが悪いということなく、だんだん血の気が体からなくなってしまって、そして、ばたりと倒れて死んでしまうのだ。この病気は、どんな名医にかかってもなおらない。ただ一つこの病気のなおる薬がある。それは、めったに獲られるものでないが、金色の魚を食べるとなおってしまう。