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きんざんそうわ

金山揷話

大鹿 卓

「中央公論」1939(昭和14)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,736 字 · 22 页

青空文庫

土田はそういって、しかし憎めないという風に微笑した。

「まるで自由党時代の人物だね」

と、私も苦笑するよりほかはなかった。

「しかしこういう古い型の鉱山師は、もう通用しなくなったね。しっかりした技術的な腕もあり、度胸もあって、堅実な途を踏む新しい型の鉱山師を産むところまで、時代が来ている」

おそらく土田も中野あたりを心に描いての言葉だろう。そう思って私もそれにうなずいた。

札幌の駅前の広場に立つと、目の前に一文字に通じたアカシヤ並木の大通りも、すでに冬景気だった。さすがに未だ根雪を見るには早過ぎたけれど、屋根々々には昨日の雪が消えのこっている。去年の夏、私は同じ場所に立ってハイカラな街だという印象を受けたのだが、今は薄暮の鈍々しさも手伝って、バスも電車も家並も、ただ古ぼけて侘しく見えるばかりだった。

しかし、そうした侘しさも、宿で森山の顔を見ると一度に掻き消えてしまった。森山はすこしも変らぬ豪宕な調子で「やア、待っていた」と、私をむかえてくれた。クリクリと剃った奇僧のような顔も、醺気を帯びた顔色も、一年前に別れた時そのままのような気がした。

やがて、用事のために駅前で別れた土田が来、某校の教師をしている佐々木が来、北海道石炭鉱業会社の茂木が来て、五人の話声は忽ち座敷の襖障子をひびき震わせるばかりになった。