轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きんば

金歯

小川 未明

「文芸」1935(昭和10)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,108 字 · 14 页

青空文庫

」

「おまえたちは、お母さんに、どうしてそんなお金があると思えるの。」

「お母さん、僕はいりませんよ。なに、デッサンさえ、やっていれば、金なんか、かかりませんから。」

「私、とれた金歯を売ってこようかと思っているのです。新聞の広告を見ると、金ならなんでも高く買うと書いてありますから。」

これを聞くと、二人は、さすがにひどく打たれたように顔を見合ったが、さき子は、そのまま下を向いて、編み物の棒を動かしていました。独り、令二が、

「お母さん、そんなことをせんで、歯医者へいって、とれたのをつけてもらっていらっしゃいよ。」といいました。

「いえ、私は、このあいだから、そう思っていたのです。それに、あれのないほうがかえって、ものが食べいいのですよ。ただ売ることなどしつけないのに、どんな店がいいだろうか、正直なところへいきたいと思っていたのです。そして、あれを売ったら、なにかおまえたちの喜びそうなものを買ってあげようと、独りで楽しみにしていました。」

このごろは、まったく砂漠のように、灰色にしか目に映らない家の中にも、小さいながらさんらんとした、金の塊が、隠されているということは、令二にとって、不思議というよりか、むしろ、人生には、つねにこうした矛盾があって、楽しいのだという感じのほうを強からしめたのであるが、これが母の大事