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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
野村胡堂『銭形平次捕物控 猿回し』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 页
三
ところで、その勇太郎は、誰と一番の仲よしでした」
「小僧の宗之助を、滅法可愛がって、喜八郎などに冷かされて居たようです」
「もう一つ、此家に風呂場があることでしょうな」
「贅沢な沙汰ですが、私の好みで、一年ほど前に、風呂場を建てて居ります、これは自慢の出来る普請で――」
峰右衛門は金持らしく、こんなことを自慢にして居るのです。
三
「親分、もう引揚げですか」
「うん、俺が居たところで、曲者は尻尾を出さないよ、――俺の代りに、お前が泊って行くががいい」
平次は薄暗くなりかけると、村越長者の家を引揚げて、帰りそうにするのです。
「でも、親分は、こいつは泊り込んで、トコトンまで調べると言ったじゃありませんか」
「気が変ったよ」
「へェ」
八五郎はひどく心細そうです。
「その代り、百人町の百兵衛のところに泊って居るよ、安心するがいい」
「すると、此処はあっし一人で」
「心細がるなよ、お化けが出て、取って喰う気遣いは無いから」
「へェ」
「その代り、一つだけ頼みがある」
「――」
「俺が泊ることにしてあったので、御馳走心に湯を立てたようだ、風呂場は立派だし是非入り度いところだが、お前は風邪を引いたということにして、湯へ入るのを断るようにするのだ」