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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页
その白い雲の中には、その他にちかちかちかちかと、美しい放電がひっきりなしに起こっていた。その小さな稲妻の色は赤や黄や紫やさまざまの美しさだった。この新しい雲は饅頭形になり、やがてそのまま上へ上へと昇って、松茸みたいな形になった。そのころ、今度はその白雲の真下の浦上の谷一面から黒い土煙がむくむくと吸い上げられて昇った。上の松茸雲は高く高く青空高く上り、その上で崩れて東に向かって流れ始めた。下の土煙も山より高く上って、その一部は下へまた散り落ち始め、一部は東のほうへ流れた。どこもよく晴れて太陽の光は山と海とを照らしていたが、この雲の真下の浦上だけは大きな雲の陰となり、真っ黒に見えた。やがて、どん! ととどろいて、着物があおられ、木の葉が吹き飛ばされたが、爆風もここまで来るとよほど弱くなっていて、牛があばれだすほどではなかった。しかし加藤君もまた、もう一発の爆弾がすぐ近くに落ちたにちがいないと思った。
高見さんは牛をひいて木場へ帰ろうと浦上から二キロの踊瀬の道を歩いていて、「ぴか」にやられたのであった。ぴかと光った時に、火鉢にあたるほどの熱さを感じたのだったが、牛も自分も熱傷を受けた。