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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

しかし二人の気分は飯前よりもかえって縁遠くなった。ことに寒い天気が二人の頭に応えた。起きた時は、日を載せた空がしだいに遠退いて行くかと思われるほどに、好く晴れていたが、それが真蒼に色づく頃から急に雲が出て、暗い中で粉雪でも醸しているように、日の目を密封した。二人は交る交る火鉢に手を翳した。

「兄さんは来年になると月給が上がるんでしょう」

ふと小六がこんな問を御米にかけた。御米はその時畳の上の紙片を取って、糊に汚れた手を拭いていたが、全く思も寄らないという顔をした。

「どうして」

「でも新聞で見ると、来年から一般に官吏の増俸があると云う話じゃありませんか」

御米はそんな消息を全く知らなかった。小六から詳しい説明を聞いて、始めてなるほどと首肯いた。

「全くね。これじゃ誰だって、やって行けないわ。御肴の切身なんか、私が東京へ来てからでも、もう倍になってるんですもの」と云った。肴の切身の値段になると小六の方が全く無識であった。御米に注意されて始めてそれほどむやみに高くなるものかと思った。

小六にちょっとした好奇心の出たため、二人の会話は存外素直に流れて行った。御米は裏の家主の十八九時代に物価の大変安かった話を、この間宗助から聞いた通り繰り返した。