轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1928(昭和3)年8月増刊~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,968 字 · 131 页
静子も私も、あとになって考えて見ると、正気の沙汰ではなかったのだ。私はそこに横わってもがいている彼女の汗ばんだ青白い全身を眺めながら、執拗にも私の推理を続けて行った。
「一方ではこの事件の中に大江春泥がいることは、火の様に明かな事実なんだ。だが、一方では、日本の警察力がまる二ヶ月かかっても、あの有名な小説家を探し出すことが出来ず、彼奴は煙みたいに完全に消去ってしまったのだ。アア、僕はそれを考えるさえ恐ろしい。こんなことが悪夢でないのが不思議な位だ。何故彼は小山田静子を殺そうとはしないのだ。ふっつりと脅迫状を書かなくなってしまったのだ。彼奴はどんな忍術で小山田さんの書斎へ入ることが出来たんだ。そして、あの錠前つきの本棚をあけることが出来たんだ。……僕はある人物を思出さないではいられなかった。外でもない、女流探偵小説家平山日出子だ。世間ではあれを女だと思っている。作家や記者仲間でも、女だと信じている人が多い。日出子の家へは毎日の様に愛読者の青年からのラヴ・レターが舞込むそうだ。ところが本当は彼は男なんだよ。しかもれっきとした政府の御役人なんだよ。探偵作家なんて、みんな、僕にしろ、春泥にしろ、平山日出子にしろ、怪物なんだ。