轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いんじゅう

陰獣

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1928(昭和3)年8月増刊~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,968 字 · 131 页

青空文庫

脅迫状の内容については、彼は新聞雑誌の記事によって春泥の経歴の大体に通じていましたし、静子の細い動作も、天井からの隙見と、それで足らぬ所は、彼自身静子の夫であったのですから、あの位のことは訳もなく書けたのです。つまり彼は、静子と枕を並べて、寝物語りをしながら、その時の静子の言葉や仕草を記憶して置いて、それをさも春泥が隙見したかの如く書き記した訳なのです。何という悪魔でありましょう。かくして彼は、人の名を騙って脅迫状を認め、それを自分の妻に送るという犯罪めいた興味と、妻がそれを読んで震え戦く様を天井裏から胸を轟かせながら隙見するという悪魔の喜びとを、合せ得ることが出来たのです。しかも、彼はその間々には、やはりかの鞭の打擲を続けていたと信ずべき理由があります。何故と云って、静子の項の傷は、六郎氏の死後になって、やっとその痕が見えなくなったのですから。云うまでもなく、彼はこの様に妻の静子を責めさいなんではいましたけれど、それは決して彼女を憎むが故ではなく、寧ろ静子を溺愛すればこそ、この惨虐を行ったのであります。この種の変態性慾者の心理は無論あなたも充分御承知のこととは思いますけれど。