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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
」
それを堂々と、家族の前でいうのだから、悪いとはいえない。そんなとき文吉はくすぐったそうな顔をして、
「おじさんは、秘書なんて雇える身分じゃないよ。サラリーが今の十倍ぐらいになったら、たのもう。」
「そんなこと。おじさんの秘書ならわたし、薄給に甘んじるわ。だって、ここで食べさしてもらうんだもの。ね、わたし、これで案外役に立つ自信あるのよ。」
「だからさ、その自信で別の所さがすんだな、おじさんも気をつけてたのんではいるがね。」
「いやあね、いつだってああいって逃げるんだもの。職安なんて、いくら通ったってだめなのよ。わたしが今、どんな仕事をしてるか知ってる? 宣伝ガールなのよ。はずかしくていわなかったけどさ。もう平気。」
「はずかしがるこたあないよ。労働は神聖だからね、自分で軽べつするもんじゃないよ。」
「ちぇっだ、わたしがどんなことしてるかいったら、軽べつするわよ、みんな。」
「どんなことさ。街頭でビラでもまいてるのかね。」
「そんな、子供だましじゃありませんよ。ストリップなんだから。」
「ええッ!」
「ほら、おどろいた。ね、いいましょうか。あんまこうの宣伝なの。ふたり一組でね、女湯へはいっていくのよ。