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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

――あったり前ですよ。満で十九じゃありませんか。同い年として、わたしは彼の気持わかるわ。わたし、みたんだもの。学校の門を出るか出ないかで、ちゃんと腕くんで歩いてたわよ。」

「どうしてそれを、あんたがしってるの。」

「知ってるさ、校門のとこで待ってたんだもんわたし。冬坊に映画でもおごってやろうかなと思ってさ。そしたら彼、にらみつけて行っちゃうの。わたしにいいつけられるかと思ってさ。」

浜子はくるりと向きなおって、

「知らぬほとけのおねえさんだ。だからわたしは、冬坊の純潔なんて信じないわよ。」

「失礼ね。」

まっかになって背をみせた音枝のあとについて、浜子は一しょに茶の間にすわりながら、しつこくつづける。

「失礼なんて、それこそ失礼よ。音枝さんには理解がワカラナイかもしれないけどさ、でも彼は幸福なのよ。そのガール・フレンドかわいい女の子よ。女でもうっとりするわよ。こうね、髪の毛をながーくうしろにたらしてさ、前髪にマーガレットの花をつけていたわ。まるで婚礼みたいにさ。銀座でもみたんだから。――あの女の子、おねえさん知らないでしょう。」

「知ってますよ。妙ちゃんて、学校のお友だちですよ。