轻松读懂日语经典作品
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
彼も宿の主人に教えられて、二度ばかりでかけ、小さなのを五六尾あげたことがあるが、その朝はどうやら釣りが目的ではなく、宿から逃げだすためにでかけたようであった。
彼はへこたれて、しょげた顔で、ときどきさも堪らないというように首を振り、溜息をついた。橋を渡ってすぐ左へ、堤の上を二丁ばかりもゆくと、岸に灌木の茂ったところがある。まえに来た場所であるが、そこでちょっと立停って、またふらふら歩きだし、堤を下りて松林の中へ入っていった。
「はあ、もう七年になるんだ、はあ」
林の中は松の若葉が匂っていた。笠へ大粒の雨垂れがぱらぱらと落ちた。
「おれは構わないとして、おたよは、どんな気持でいるか、ということだろう、それを、うまいようなことを云って、誓いをやぶって、賭け試合などして、……はあ、つづめたところ、自分が飲みたかったのでしょう、そうでしょう、舌なめずりをしてでかけたじゃないか、いそいそと嬉しそうに、ひやっ」
伊兵衛は首を縮め、ぎゅっと眼をつむった。
三沢の家は松平壱岐守に仕えて、代々二百五十石を取っていた。父は兵庫助といい、彼はその一人息子で、幼い頃ひどく躯が弱かったため、宗観寺という禅寺へ預けられた。