轻松读懂日语经典作品
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
説教節の爺さんは少し中風ぎみであるが、特に責任を感じたというふうで、誰よりも熱心に奔走していた。
どうやら用意がととのう頃には、黄昏の濃くなった部屋に(主人の好意で)八間の灯がともされ、行燈も三ところに出された。
「さあ男の人たちは旦那とごいっしょに坐って下さい、あとはもう運ぶだけだから」
女たちはこう云ってせきたてた。
「――うちのにお燗番をさせちゃだめですよ、燗のつくまえに飲んじまいますからね」
すると脇にいた女が、それではおまえさんの燗鍋はいつも温まるひまがないだろう、など云い、きゃあと笑い罵りあった。
伊兵衛は宿の主人夫婦と並んで坐った。男たちもそれぞれに席を取った。炉にかけた大きな鍋には、燗徳利が七八本も立っていて、膳が運ばれると、宿の女中がそれをみんなの膳に配った。
そして賑やかな酒宴が始まった。
「どうです、こうずらりっと肴が並んで、どっしりとこう猪口を持ったかたちなんてえものは、豪勢なものじゃありませんか、公方様にでもなったような心もちですぜ」
「あんまり気取んなさんな、うしろへひっくり返ると危ねえから」
伊兵衛は尻下りの眼でかれらを眺めながら、いかにも嬉しそうにぐいぐい飲んでいた。