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ゆき
雪
楠田 匡介
「探偵新聞」1948(昭和23)年5月5日号、5月15日号、5月25日号、6月5日号、6月15日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,792 字 · 50 页
(3)被害者が室外で要撃され室内に入ってから絶命する場合。家の外に出ていないのだから、一声出せば、皆んなにすぐ知れる筈だったがやはりあの場では不可能である。
(4)犯人が、あの扉のこわされるまで出ていかなかった場合は。この部屋のどこにもその様な隠れる場所はない。壁中、あの四人の目をかすめて、出て行けるものでもない。では、たった一つ、扉に機械的装置をして兇行後犯人は室外からそれを操作して、鍵をかける方法しか残っていないではないか。
警部は立って、今度は強力レンズを借りて扉を調べて見たが、内にも外にもそんな操作をしたしるしも、共通の跡もなかった。
「久保田さん、外から、この錠をかけたまでは判ったのですが。どうして閉めたのか――どうしてこのカンヌキを外から落し得たか――これは私達の一枚上を行く、兇悪な奴ですね。久保田さん! こんな国境の近くに、これ程恐しい奴が居ようとは思いませんでした。今頃、そ奴はのうのうと僕達の無能ぶりをわらっているでしょうね」
暫くして、田名網警部は自ら沈黙を破って沈んだ声で久保田検事に話しかけた。
「いや、智者は智に倒れるということがあるよ。