轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
五助は気をしずめようと、一生けんめいつとめながら、なおも怪しい青いものの姿を見つづけた。するとその怪しいものは、急に杉の幹を伝わって下りたように見え、雪の上を匐って道の方へ出てくると見えたが、その瞬間、ぶるっと慄えたかと思うと、かき消すように、その姿は消えうせたという。
五助はそこでもう道を引返そうと思ったが、兄が待っていることを思い、また妹をおどろかせることを心配して、自分の気を引立てると、そのまま、歩行をつづけたそうである。
が、やがて恐ろしい関門にさしかかった。その地蔵の森の前を、どうしても通りぬけねばならないのだった。五助はいざというときは、その怪物と組打をする決心をし、他方どうかその怪物が出てくれないように祈りながら、森の前にさしかかった。
幸いに、怪物の姿はどこにも見あたらなかったし、呻り声も聞えなかった。ただ見つけたものは、雪の中に凹んだ足跡らしいものが、点々としてついていたことだった。その足跡らしいものは、もちろん人の足跡ともちがい、また動物のそれでもなく、舟の形をして縦に長く、そしてまわりからゆるやかに、中心へ向けて凹んでいたのである。