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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

「この中の島なんだよ。あなたがたのお父さまがとりこになっているところは――」

「えっ、とりこですって」

「そうだ、敵のため、ここにつれこまれたのだ。敵はお父さまの発明した『地底戦車』のひみつをしりたくて、こんなひどいことをしたのだよ」

「なぜ、助けださないのです」

高一はこぶしをにぎってさけびました。

「まあ、きてみてごらん」

高一とミドリは、大石大尉にともなわれて、ざんごうへ出ました。そこから二本の角がでたような望遠鏡で、中の島の方をそっとのぞかせてくれました。

「ああ、これはトーチカだ」

「えっトーチカ。トーチカって、あの――」

きょうだいのおどろくのもむりではありません。鉄とコンクリートでかためたちいさい要塞で、そのちいさい穴から大砲や機関銃が、いつでもうてるように、こっちをむいているのです。せめてもなかなかおちない要塞です。

「せめてゆけないこともないが、そうすると、お父さまもころしてしまう。まったく私たちもこまっているんだ」

大石大尉は、ざんねんそうにいいました。

いろいろ苦労して、せっかくここまできてみれば、きょうだいの父親はトーチカの中にとらわれの身となって、こっちから鉄砲もうてないのです。