轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きりのばんしゃ

霧の蕃社

中村 地平

「文学界」1939(昭和14)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,389 字 · 57 页

青空文庫

突然、だしぬけに人々の頭上に、意外な不幸が落下したのである。不幸などというなまやさしい言葉では言い足りない悲劇にちがいない。場内に集っていた内地人の大部分百三十四名が、無智な、兇暴な蕃人たちの計画的な襲撃に遭って、みな殺しにされてしまったのである。

始め、君が代を合唱し始めた時、人々はまるでその歌声を打ち消しでもしようとするような「うおう」という、物すごい集団的な喚声が、すぐ背後に湧きたち、おし迫ってくるのを聞いた。人々は自分の耳を疑うように異様な表情を浮かべた。瞬間、合唱の声が乱れたような気がした。しかし、既にその時、手に手に竹槍や、蕃刀やを提げた百五十人ばかりの蕃人が、雪崩れをうって場内に駈けこんできたのに、人々は気がついた。

グラウンドのすぐ背後には桜台と呼ばれる小さな台丘がある。桜の樹や、雑木やが土の色も見せない位繁っているが、蕃人たちはその樹の繁みの間にひそみ隠れていた。ある者は蕃刀をぬき放ち、ある者は鋭利な竹槍を小腋に抱え、息をひそめ、眼を光らせ、頃合いを見計っていたのである。

グラウンドでは自分の周囲に何が起きたのか、その重大な意味を人々がまだ理解することも出来ない間に、忽ち異様な悲鳴が湧きあがった。