轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きりをけすはなし
霧を消す話
中谷 宇吉郎
「思想」1945(昭和20)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,903 字 · 16 页
霧は一般にその頂が低く、その上は飛行に好適の状態にある。こういう不利な条件の下に、辛うじて二冬を凌いだ苦しい体験が、三度目の冬を目前にして、英首相チャーチルをして、霧の人工消散を決意せしめたのであろう。
一九四二年の九月二十六日、チャーチルは燃料相ジォフレー・ロイドに次のようなメッセージを送った。
「飛行場の霧を消散せしめて、飛行機が安全に着陸し得るよう何らかの方法を案出することは刻下の喫緊事である。この目的のためにすべからく燃料省は全力を挙げて急遽実験に着手せられたし。余もあらゆる援助を与えよう」
こういうメッセージを燃料相に送るということは、霧の人工消散に熱式方法を採用しようという腹が決まったことを意味するであろう。そうすればこのメッセージの以前に、既に相当の研究、少なくも充分な検討が為され、遂に熱式を採用したものと解すべきである。「燃料省は全力を挙げて急遽実験に着手せよ」というのは、実用に供するについての大規模実験を言うのであろう。一九四二年の九月といえば、北阿ではロメル軍がスエズを衝かんとし、スターリングラードでは血の攻防戦が最高潮に達していた時である。