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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页
五十銭の原稿料でも、原稿料のでる雑誌などは、大いに珍らしかったほど、不景気な時代であった。五冊ほどで、つぶれた。私は「竹藪の家」というのを連載した。
この同人が行きつけの酒場があった。ウヰンザアという店で、青山二郎が店内装飾をしたゆかりで、青山二郎は「文科」の表紙を書き、同人のようなものでもあったせいらしい。青山二郎は身代を飲みつぶす直前で、彼だけはシャンパンを飲みあかしたり、大いに景気がよかったが、他の我々は大いに貧乏であった。私は牧野信一、河上徹太郎、中島健蔵と飲むことが多く、昔の同人雑誌の人達とも連立って飲むことが多かった。私が酒を飲みだしたのは牧野信一と知ってからで、私の処女作は「木枯の酒倉から」というノンダクレの手記だけれども、実は当時は一滴も酒をのまなかったのである。改造の西田義郎も当時の飲み仲間であるが、私はこの酒場で中原中也と知り合った。
ある夜更け、河上と私がこの店の二人の女給をつれて、飲み歩き、河上の家へ泊ったことがある。河上は下心があったので、女の一人をつれて別室へ去ったが、残された私は大いに迷惑した。なぜなら、実は私も河上の連れ去った娘の方にオボシメシがあったからで、残された女は好きではない。