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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页

青空文庫

矢田津世子のあらゆる讃辞が、河田誠一にささげられて、私の前に述べられている。その心のあたたかさと、まじめさと、友情の深さに就て。それは、すべて、河田の彼女への忠告を彼女がうけいれたというアカシであり、私に対するサイソクであった。私はそれに対しても、ただ、笑い顔によってのみ、答えていた。

私の心は、かたくなであった。石の如くに結ぼれていた。

要するに、私は自分の心情に従順ではなかったのである、本心とウラハラなことをせざるを得なくなる。それが私の性格的な遊びのようなもので、自虐的のようでもあるが、要するに、遊びだ。私はそのころ牧野信一の家で、長谷川何とかいう手相、指紋の研究家に手をみられて、君の性格はアマノジャクそのものだ、と言われた。然し、アマノジャクとは何か。ヒネクレているということの外に、アマッタレているという意味があると私は思う。物自体よりも物を雰囲気的に受けとろうとする気分的なセンチメンタリズムも多分にあり、要するに、いいところは一つもない。然し、本人は案外いい気なもので、それに私は、センチメンタルではあるけれども、同時に、野放図な楽天家でもあった。