轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页

青空文庫

私は母のいる家が嫌いで、学校から帰ると夜まで外で遊ぶけれども雨が降れば仕方がないので、そういうときは女中部屋へもぐりこむ。女中部屋は屋根裏で、寺の建築の屋根裏だから、どの部屋よりも広く陰気で、おまけに梁の一本が一間あまり切られたところがあり、これは坊主の学校のとき生徒の一人が首をくくり、不吉を怖れてその部分だけ梁を切ったという因縁のものだ。尤もその切口もまったく煤けて同じ色の黒さで、切った年代の相違などというものもすでに時間の底に遠く失われているのであった。この屋根裏は迷路のように暗闇の奥へ曲りこんでおり、私は物陰にかくれるようにひそんで、講談本を読み耽っていたのである。雪国で雪のふりつむ夜というものは一切の音がない。知らない人は吹雪の激しさを思うようだが、ピュウピュウと悲鳴のように空の鳴る吹雪よりも、あらゆる音というものが完全に絶え、音の真空状態というものの底へ落ちた雪のふりつむ夜のむなしさは切ないものだ。ああ、又、深雪だなと思う。そして、そう思う心が、それから何か当のない先の暗さ、はかなさ、むなしさ、そんなものをふと考えずにいられなくなる。