轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かぜのさむいよのなかへ
風の寒い世の中へ
小川 未明
「赤い鳥」1925(大正14)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,903 字 · 8 页
そして、寒い風が吹いていました。そばに、雑木林があって、その葉の落ちた小枝を風が揺すっているのでした。
お人形は、寒くて、寂しくて、悲しくなりました。いままでいたお嬢さんのへやが、恋しくなりました。本箱の上に、平和で、雨や、風から遁れて、まったく安心していられた時分のことを思い出して、なつかしくてなりませんでした。そして、どうしたら、ふたたび、お嬢さんのそばへゆき、あの住みなれたへやに帰られるだろうかと思っていました。
ある晩のことです。お嬢さんは、ふと、いままで本箱の上に置いた、お人形のことを思い出していました。そして、下女を呼んで、
「あれから、ごみ屋さんがきて?」といって、たずねました。
「今朝きて、すっかり持っていってしまいました。」と、下女は答えました。
お嬢さんは、人形の行方を思ったのでした。しかし、それは、どこへ、どうなってしまったものか、ほとんど想像のつかないことでした。
「つい、二、三日前まで、私といっしょにこのへやの中にいたのに……。」と思うと、お嬢さんは、ほんとうにかわいそうなことをしたものと後悔したのであります。
捨てられたお人形は、一晩、ものさびしい野原の中で、露宿しました。