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ふうりゅうばけものやしき

風流化物屋敷

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,228 字 · 40 页

青空文庫

「お詫びはどんなにでも致しますから、どうか御勘弁を」「命ばかりはどうか助けてお遣んなすって」寄って集って拝み倒しにかかった、「なにをそう騒ぐんです」平之助はあっけにとられて、「私はどうもしやしない、あの人が出てゆかないと云うから向うへいって寝るところですよ」「へえ、向うで、――?」「居間のほうで寝ますよ」こう云って出ようとしたが、そこでふと十人余りの人間の現われたことが訝かしくなり、振返ってからみんなを眺めまわした、「ほう、だいぶ大勢いますねえ」「ええ、えっへへへへへへどうも、なんです、とんだお邪魔で」「つまり権八の云った御隠居と御新造というのは、貴方がただったんですね」「いえ隠居だの御新造なんてそんな者じゃござんせんので、へえ」口の利けそうな五十がらみの男がこう云いながら進み出た、彼はこの旦那が図抜けてのんびり育ったお坊ちゃんで、本当に化物も幽霊も知らないし、世間の裏おもてなぞはまったく無知だということを察したのである。手数をかけることはない、これならじか談判でごまかせる、こう考えたから、勿体をつけてもう一つ笑った。「実はそのなんです、旦那にお縋り申して、ぜひ助けて頂かなくちゃあならねえことがござんすもので、こうやってまあ揃ってお邪魔をしたと、こんなわけでござんすが」