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めしまつま
飯待つ間
正岡 子規
正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页
虎を画いて成らず狗に類すなどというのは写生をしないからである。写生でさえやれば何でも画けぬ事はないはずだ、というので忽ち大天狗になって、今度は、自分の左の手に柿を握って居る処を写生した。柿は親指と人さし指との間から見えて居る処で、これを画きあげるのは非常の苦辛であった。そこへ虚子が来たからこの画を得意で見せると、虚子は頻りに見て居たが分らぬ様子である。「それは手に柿を握って居るのだ」と説明して聞かすと、虚子は始めて合点した顔附で「それで分ったが、さっきから馬の肛門のようだと思うて見て居たのだ」というた。
○僕の国に坊主町という淋しい町があってそこに浅井先生という漢学の先生があった。その先生の処へ本読みに行く一人の子供の十余りなるがあったが、いつでもその家を出がけにそこの中庭へ庭一ぱいの大きな裸男を画いて置くのが常であった。それとも知らずその内の人が外へ出ようとすると中庭に大男が大物を抱いて居る画があるので度々驚かされる。今日もまた例の画がかいてあったとその内の人が笑いながら話すのを僕が聞いたのも度々であった。その時の幼い滑稽絵師が今の為山君である。