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しゅせきとばっせき
首席と末席
佐々木 邦
「雄弁」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,378 字 · 15 页
「検定は出来るが、独学だから発音が悪い。高師は教授法が巧いばかりだよ。矢っ張り斯ういう学校で本式にやったものに限る。僕は校長を二三人知っているから、極力君達を推薦してやる」
と菊地君は大いに私達の意を強くしてくれた。
「菊地さん、卒業しなくても使って貰えますか?」
とこの時寺島君が訊いた。
「卒業しなくちゃ困るね。急ぐことはない。もう半年じゃないか?」
「いや、僕は卒業が覚束ないんです」
「何故?」
「僕達の級は十三人で僕が末席です。十三人は不吉数だから、末席のものを落して十二人卒業させるとジョーンズさんが言っています」
「そんな馬鹿なことはないよ」
「いや、僕は心配になりますから、訊きに行ったんです。あの老爺は頑固ですよ。果して君が末席になるようなら、君が一年後れるのは神さまの意志で仕方がないと言いましたぜ」
「驚いたなあ。まさかと思うけれど、万一そんなことになったら教務の今井さんに相談して見給え。試験には規定があるんだから、いくら校長の意思だって点数のあるものを落す次第には行くまい」
と菊地君は慰めた。私達もまさかの場合にはジョーンズ博士のところへ談判に行ってやる積りだった。