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ほねをけずりつつあゆむ
骨を削りつつ歩む
佐左木 俊郎
――文壇苦行記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,044 字 · 10 页
で或る日、室生犀星氏を訪ねて「顔を紅める頃」という短篇小説を見てもらったら、率直でいいが、もっと勉強しなければいけないと言われた。もっと読めというのであった。私はその言葉に力を得て読書に全力を注いだのであったが、遂にまた病気にかかってしまった。そして又おめおめと郷里に帰った。
郷里では、いい物笑いの的ではあったろうけれども、私は今度こそはという意気込みで、翌年の春までには、二つの長篇小説と、八つの短篇小説を書いた。病気はまもなく癒ったので、寒い吹雪の日も、火の無いところで書いたが、インキが凍るので困った。妹が同情して、自分の小遣い銭で炭を買ってくれた事もあった。父が原稿を書くことにあまり好意を持っていなかったので、原稿紙を買ってもらうことも出来ず、「流れ行く運命」という長篇は全部、小学校の教員をしている友人から、生徒が鉛筆で答案を書いた藁半紙をもらって、そこへ毛筆で書いた。インキを買う金も無かったので。
原稿紙だけでも欲しいだけ買いたいものだというので、私はまた東京へ出て来た。そしてまた裁判所の雇になったが、廿四円ばかりにしかならなかったので、今村の奥さんが宅に来るようにとすすめてくれるので、また図々しくやっては行ったが、今度は私も考えなければならなかった。