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おうむぐらかえくびでんせつ

鸚鵡蔵代首伝説

国枝 史郎

「冨士 特別増大号」1937(昭和12)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,083 字 · 26 页

青空文庫

白壁づくりではあったが、夕陽に照らされて、見る眼に痛いほど、鋭く黄金色に輝いていた。

少年武士は、その蔵へ眼をやったが、

「何だか知っているかとは何じゃ、蔵は蔵じゃ」

「鸚鵡蔵よ」

「鸚鵡蔵? ふうん、鸚鵡蔵とは何じゃ?」

「お蔵の前へ行って、何々さーんと呼ぶんですの。するとお蔵が、何々さーんと答えてくれるでしょうよ」

「蔵が答える?」

「ええ、だから鸚鵡蔵……」

「馬鹿申せ」

「それでもようござんす、馬鹿申せッて、呼ぶんですの。するとお蔵が、馬鹿申せと答えてくれるでしょうよ。……納谷様の鸚鵡蔵ですものねえ」

「納谷様?」と少年武士は驚いたように、

「では、あれが、納谷殿のお屋敷か?」

「そうよ。でもどうしたのさ、親しそうに納谷殿なんて?」

「拙者、納谷殿屋敷へ参る者じゃ」

「まア、坊ちゃんが。……では、坊ちゃんは?」

「納谷の親戚の者じゃ」

「まあ」

「身共の姉上が納谷家に嫁しておるのじゃ」

「まあ、それでは、奥様の弟?」

「うむ」

「お姓名は?」

「筧菊弥と申すぞ」

「まあまあ、そうでしたかねえ」と云うと女は立ち上った。

首を洗う姉

それから、草の上へ、さもさも疲労たというように、両脚を投げ出して坐っている、菊弥を見下したが、