轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页

青空文庫

真斎は相当著名な中世史家で、この館の執事を勤める傍に、数種の著述を発表しているので知られているが、もはや七十に垂んとする老人だった。無髯で赭丹色をした顔には、顴骨突起と下顎骨が異常に発達している代りに、鼻翼の周囲が陥ち窪み、その相はいかにも醜怪で――と云うよりもむしろ脱俗的な、いわゆる胡面梵相とでも云いたい、まるで道釈画か十二神将の中にでもあるような、実に異風な顔貌だった。そして、頭に印度帽を載せたところといい――そのすべてが、一語で魁異と云えよう。しかし、どこか妥協を許さない頑迷固陋と云った感じで、全体の印象からは、甲羅のような外観がするけれども、そこには、鎮子のような深い思索や、複雑な性格の匂いは見出されなかった。なお、その手働四輪車は、前部の車輪は小さく、後部のものは自転車の原始時代に見るような素晴らしく大きなもので、それを、起動機と制動機とで操作するようになっていた。

「ところで、遺産の配分ですが」と熊城が、真斎の挨拶にも会釈を返さず、性急に口切り出すと、真斎は不遜な態度で嘯いた。

「ホウ、四人の入籍を御存じですかな。いかにも事実じゃが、それは個人個人にお訊ねした方がよろしかろう。