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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页
つまり、刑死体を解剖して、その頭蓋形体を具えた者がおりました際には、その都度その刑死人の子を、典獄ブロックウェーを通じて手に入れたのでした。そして、ついにその数が、国籍を異にするあの四人になって……ですから、『ハートフォード福音伝道者』誌の記事も、また、大使館公録のものも、みんな算哲様が、金に飽かした上での御処置だったのでございます」
「そうすると、この館にあの四人を入籍させて、動産の配分に紛糾を起させたというのも、つまりが、結論を見出さんがための筋書だったのですね」
「さようでございます。あの方の御父上も同様の頭蓋形体だったそうですが、それもございましたのでしょう、算哲様は御自分の説に、ほとんど狂的な偏執を持っていらっしゃいました。しかし、あの方のような異常な性格な方には、我々の云う正規の思考などというものは問題ではございません。没頭――それが生命の全部であり、遺産や情愛や肉身などという瑣事は、あの方の広大無辺な、知的意識の世界にとれば、わずかな塵にしかすぎないのでございます。そこで、私の父と算哲様は後年を約して、その成否を私が見届けることになりました。