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くろふねぜんご

黒船前後・志士と経済他十六篇

服部 之総

服部之総『黒船前後・志士と経済他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:黒船前後、志士と経済、空罎、加波山、咸臨丸その他、汽船が太平洋を横断するまで、黒田清隆の方針、黒船来航、新撰組、せいばい、尊攘戦略史、撥陵遠征隊、福沢諭吉、武鑑譜、望郷、蓮月焼、Moods cashey。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,901 字 · 247 页

青空文庫

そこで結局は、総領事セワード氏が領事館通訳者ジェンキンスに一ぱい食わされた――しかも発表できない点で食わされた――という仮説が成立ちそうだ。事実セワードは、ある文献によると、「出発前」のジェンキンスから遠征隊の目的は「条約を締結し、かつは米仏政府に対して朝鮮における外人殺害事件を釈明するための朝鮮国使節をヨーロッパに伴い来るため」であると告げられている。してみるとセワードは、撥陵計画については知らなかったとしても、遠征隊そのものについては事前に関知していたのである! 一方そもそもジェンキンスの報告に基づいてセワードが本国に禀請して成った対朝交渉案の実行を、公使ロウが大事をとってなかなか動かないので、セワードとしてはあせり気味の折でもあった。

もとよりジェンキンスが欺いてセワードに撥陵遠征隊の資金を仰いだという仮説は、この種の事件がほとんどすべてそうであるように永遠に証明さるることのない仮説であり、たんに一つの合鍵であるのに過ぎないが、アメリカ外交史にとってはおそらく比較的名誉ある合鍵であろう。なぜなら、いかなる仮説も必要としない動かすべからざる事実として、オッペルト遠征隊事件の後三年目の一八七一年には正真正銘の合衆国遠征隊が、三艘の蒸汽船の代りにフリゲート一隻、コルヴェット二隻、砲艦二隻からなる大艦隊を