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くろふねぜんご
黒船前後・志士と経済他十六篇
服部 之総
服部之総『黒船前後・志士と経済他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:黒船前後、志士と経済、空罎、加波山、咸臨丸その他、汽船が太平洋を横断するまで、黒田清隆の方針、黒船来航、新撰組、せいばい、尊攘戦略史、撥陵遠征隊、福沢諭吉、武鑑譜、望郷、蓮月焼、Moods cashey。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,901 字 · 247 页
由緒ある門閥の郷士たちは、親鸞の時代から加波山事件までのながい日本の社会史を通じて、日本封建制のいわばアトムを構成してきた。加波山事件の直接の前件となった福島事件の領袖河野広中が晩年(彼の伝記のなかで)つぎのようにいっているのは面白い。「東北は往昔化外の地を以て遇せられたけれども、その民は質実、剛健で、しかも地方の豪族を頂いて自治し、実に自主独立の精神に富んでいた……」。
河野家じたいがこの「豪族」の一つで、伊予の名族河野氏の裔が加藤嘉明に仕え、嘉明が伊予松山から会津に転封され、嘉明の子明成が徳川からつぶされるや、土着して「東北の豪族」となった。日本封建制の最下部を支える農奴主の小天地――領主が幾人変ろうと、豊臣が徳川に変り徳川が明治になろうと、それじたいビクともしない「自主独立」の封建制のアトム、それがこの豪族であった。親鸞の関東における門徒もまたこの範疇を出ないとみられる。
しからばかかる封建制のアトムから、いかにして自由之魁磐州河野広中を、そして福島事件・加波山事件・秩父騒動を、生みだすことができたのであろうか? 一言にしていえばそれはこのアトムからではなくその対立物から、換言すればこのアトムの崩壊過程から、生みだされてきたものであった。