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くろネクタイぐみのましゅ

黒襟飾組の魔手

山本 周五郎

「少年少女譚海」1930(昭和5)年8月別冊読本

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,299 字 · 27 页

青空文庫

「遅いなあ壮太君、僕はもう一仕事やってきちゃったぜ」

壮太は頭を掻き掻き立上った。

「さあ事件はいよいよ面白くなってきた。ところで、こん度はむずかしい役を君に頼まなくちゃならないが、――実はね……」

で、又ひそひそと秘密な相談が始まった。

「よござんす! やりましょう※」

聞き終ると、壮太が拳骨で胸を叩いてわめいた。

「畜生、昨夕の仕返しだ、うんとやっつけますよ、だが奴ぁ愕くでしょうね、うふふ」

「笑いごとじゃない。うっかりすると反対に君が愕く方へ廻るかもしれないぜ」

「なにくそッ、こん度こさあ」

そして壮太は勇気りんりんと出ていった。

龍介はそれからゆっくり朝食を執って、歩いて若林子爵を訪ねた。

子爵は昨夜の疲れでまだ寝ていた。しかし龍介のきたことを聞くと、寝不足な顔をこすりながら、起き出てきた。――それを見るより龍介。

「お早う伯父さん、頭の前の方が痛みやしませんか、痛むならあとですぐ直る良い薬をあげます。――ところで、又昨夜も黒襟飾組はやって来ましたね、そうでしょう※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「どうして、お前それを知ってる」子爵は額を揉みながら葉巻を取りあげた。