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くろネクタイぐみのましゅ

黒襟飾組の魔手

山本 周五郎

「少年少女譚海」1930(昭和5)年8月別冊読本

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,299 字 · 27 页

青空文庫

意外※(感嘆符二つ、1-8-75) 探偵とは嘘の皮

卓子の上には紫天鵞絨の筐がおき棄ててあるばかりだ。

「云わんこっちゃない、だから私は出さん方が宜いと云ったのだ」

探偵はもう一度吠え立てた。

二人はそれから龍介を起こしたが、龍介はなかなか起きなかった。肩を掴んで揺りたてるようにして、五分ばかりかかった後やっと眼をさました。

「や、こりゃきっと、麻酔剤をかけられたんだ」

探偵が叫んだ。龍介はまだねぼけ声だ。

「頸……頸飾は無事ですか……」

「君のおせっかいで、綺麗に奪られちゃったよ」探偵は忌々しそうに呶鳴りつけた。

「それでも黒襟飾組を一網打尽にすると云うんかね、小僧君」

龍介はよろよろと起上ってねぼけ声で、

「ああよく睡った。伯父さん、大丈夫ですよ心配しなくても。明日、明日僕が取返してきてあげますよ、本当だ……ああ睡い」

そういいながら、又どっかり長椅子に坐り込んで、ぐうぐう眠りこんでしまった。

意外※(感嘆符二つ、1-8-75) 探偵とは嘘の皮

その翌日。龍介は午前十時に、麹町内幸町の桂河探偵の事務所を訪ねていた。

受付には少女の給仕がいた、しかし先日の少女とは違っていた。龍介は給仕に導かれてゆきながら、低く独言をいった。