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くろネクタイぐみのましゅ
黒襟飾組の魔手
山本 周五郎
「少年少女譚海」1930(昭和5)年8月別冊読本
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,299 字 · 27 页
貴下は書斎の卓子の上に、頸飾を出しておかるべし、この命令に叛く時は一家残らす惨殺すべし。
黒襟飾組主領
「一家残らず惨殺す、か!」読終って龍介は冷笑した「伯父さん、此奴等はこの手紙を自分たちで受取る方が本当ですよ。なぜって、奴等はもう、明日っきりの命ですからね」
「そんなこと云って龍介、お前ちゃんと計画はできているんだろうね」
「まあ見ていて下さい。ところで桂河さんは遅いですね。へぼ探偵さんは、――実際あんなへぼさんて見たことがないや」
そして龍介は大声で笑った。と、その時えへんと咳払いをしながら当の桂河探偵が現われた。正に龍介のいった悪口を聞いたのだ。大へんに御機嫌の悪い顔で、子爵にちょっと挨拶したまま、黙ってどっかりと自分の椅子へかけた。
「今晩は桂河さん」龍介はあいそよく話しかけた「貴方はいつもそうやって帽子をかぶりっきりなんですか、家の中でも?」
「探偵という者は」桂河探偵がむっとした容子で答えた「いつどこで悪漢に顔を見知られるかも知れない、顔を覚えられては探偵するに具合が悪いから、いつもこう眉深に帽子をかむって顔をかくしているんだ」
「へえ――探偵ってずい分むだ骨の折れるもんだなあ」