轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くろネクタイぐみのましゅ
黒襟飾組の魔手
山本 周五郎
「少年少女譚海」1930(昭和5)年8月別冊読本
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,299 字 · 27 页
一時を打った。桂河探偵が立って紅茶の支度をしようとした。そこで龍介がそれを手伝った。温かい薫りの佳い紅茶茶碗が三人の手にわたった。
龍介は自分の椅子にかえった。そして時々そっと、懐中から例の香水を取り出しては嗅いだ。
ふと、皆が紅茶を啜る音の間に、かすかにシュー、シューという音が聞えてきた。
一時二十分――三十分。見るとまず子爵が居眠りをはじめた。それからすぐ龍介ががっくり、頭を垂れてしまった。
桂河探偵は危険を感じたのか、よろよろと立上って壁の方へいった。とたんに電灯が消えた。――闇の中で誰かが唸いた。
暗いままで時間は経ってゆく、十分、二十分。そして時計が二時を打った。
「あっ※(感嘆符二つ、1-8-75)」と叫んだのは子爵である、時計の音で眼を覚ましたのだ。書斎の中が真暗だから、急いでスイッチをひくと電灯がついた。
見ると龍介は窓際の椅子でぐっすり睡っているし、探偵は壁際に倒れている。走りよって、
「桂河さん、桂河さん」と呼びおこすと、それでもようやく我に返った容子で、
「頸飾は……頸飾はどうしました」と叫んだ。
頸飾は? ああ勿論ありはしない。