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くろネクタイぐみのましゅ
黒襟飾組の魔手
山本 周五郎
「少年少女譚海」1930(昭和5)年8月別冊読本
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,299 字 · 27 页
「すっかりできているかい……」
少女の給仕はちょっと立停まって、
「左様でございます」といってすぐ「先生のお部屋はここでございます」と附加えた。
龍介は扉を叩いて室の中へ入った。入る時小さな紙片と、黒い封筒に入った物を落した。少女の給仕はそれを拾うと、素速く懐中へ入れて受付へかえった。
龍介は室へ入った。事務室に桂河探偵がいた、例によって帽子を冠ったまま大卓子に向かって何か書物をしていた。
「お邪魔します桂河さん」龍介が挨拶した。
「ああどうぞ、ちょっとお待ち下さい、いま手紙を一通書いてしまいますから」
書き終ると探偵はそれを封筒にいれて、呼鈴を押した。少女の給仕がくると封筒をわたして、
「もう五分もすると、いつもの子供がくるから、この手紙をわたしてくれ。それでよろしい」
そういって給仕を室から出した。
「やあ失礼、ところで、なにか御用ですかね」
「そうなんです、朝早くから失礼ですが、至急お願いしたいことがありましてね」
「なる程。で、その用というのは」
「黄色金剛石の頸飾が頂きたいんです※」
「な、なに※」
桂河探偵は顔色を変えて突立った。
「そんな芝居はたくさんですよ。