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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《それでも私は行く(それでもわたしはいく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 頁
「どうぞ!」
「ああ」
ちょっと頭を下げて坐ったが、再び頭を上げた時の、やや蒼ざめた鶴雄の顔を見て、弓子ははっとした。
青み勝ちに澄んだ眼は、睫毛が長く、鼻筋はきれいに通り、胸を病む少女のようにほっそりと痩せた頬には、深い笑くぼがあり、透きとおるように色が白い。紅顔可憐という形容が似合うのだが、しかし、じっと相手を見据える視線や、眉間の縦皺、きっと結んだ口元は、美少年型の鶴雄の顔に苦味走ったアクセントと、憂愁の陰影をつけていた。
四条河原町ではそれほどにも思わなかったが、今こうして向い合って見ると、こんなに美しい学生だったのかと、意外だった。
「御用事は……?」
「実は……」
と、口籠るのを、弓子はすかさず、
「取り戻しに来たんでしょう……?」
「そうだ」
先を起されたので、鶴雄は些か自尊心を傷つけられた気がして、思わず野暮なドラ声を出した。
「返すわ。折角御足労を掛けたんだから」
弓子はズボンの中から百円紙幣を取り出すと、鶴雄の前に置いた。
すると、鶴雄はそれを押し返して、
「いや、これじゃない。サイコロだ」
「えっ……?」
「この百円はあんたのものだ」
「あら、どうして……?」