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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《それでも私は行く(それでもわたしはいく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 頁
三等は一桁の数字が2の番号、四等は5の番号だ。
鶴雄は一枚ずつ掲示板と見くらべてみたが、三枚目まで全部はずれていることが判ると、もう掲示板を見上げるのも莫迦らしくなって、四枚目は一桁の数字だけ見て、破ってしまった。
そして、五枚目。サイコロは5と出たのだから、せめて五枚目は四等の5の数字ぐらいは一桁についていそうなものだと、開いてみたが、1753……やはり駄目だった。
苦笑して破ろうとすると、
「あら、だめよ、破っちゃ……」
若い女の声がした。
振り向くと、赤いブラウスを着た二十二三の女が、サージの黒ズボンに両手を突っ込んだまま、すくっと立って、ぶしつけに鶴雄の手の中を覗き込んでいた。
「それ一等じゃないの」
「へえ……?」
びっくりして、鶴雄は掲示板を見上げた。1753……なるほど一等だ。
「ありがとう」
鶴雄は屋台の中へはいって行った。そして百円紙幣を一枚貰って、ズボンに入れ、
「今日は奇数に縁のある日だ」
と、呟きながら狭い屋台から出ようとすると、さっきの赤いブラウスの女が、いきなりつかつかとはいって来て、どんと突き当った。
「あら御免なさい」
女は四等の景品の煙草を貰うと、屋台を出て鶴雄の方は見向きもせず、三条の方へさっさと電車通りを渡って行った。