輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
線上閱讀永井 隆《ロザリオの鎖(ロザリオのくさり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,351 字 · 213 頁
そしてその聴診器の端から今にもぴゅっと水を噴き出しそうな気がした。
「今日は貧血が目立たぬようですね?」
「ありがとう。目まいも止まった」
秋月君はにっと笑ったまま私を見つめている。リゾールがしずかににおう。秋月君はそこに出してある三河内焼きの茶わんに勝手に冷えた茶をつぐと、ヨードチンキで真っ黒になった片手でぐいとあふった。
「私は山に入ることにしました」
平然と途方もないことを言い出して私を見つめている。私は聴診器が水を噴くのを待つどころではない。いささかあわてて尋ねた。
「そして病院の方は?」
「やめます」
「──やめる? やめられたら病院が困りますよ。せっかく君の努力で仮建築ながらりっぱに再建できたのだし、爆撃以前からいて様子をよく知っているのは君だけです」
「だからやめるのです」
「?……」
「先生もご存じのとおり私は肉体の病気をなおすとともに霊魂の病気もなおすという理想的な診療をやってみたいと思って、聖フランシスコ修道院経営の病院に入ったのでした。そうこうしているうちにあの原子爆弾です。廃虚となった病棟、倒れた同僚、かつぎこまれる負傷者の群れ……ああ、あれから二年、明け暮れただ忙しく復興に没頭してきょうまで来ました」