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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《三枚続(さんまいつづき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 頁
十七
それ、頼まるれば越後から米搗にさえ出て来る位、分けて師の内室が仰せであるのに、お夏は顔の色を変えてためらった。
(そうだ、勝山さん煽いでお上げ、)とお夏が直に命を奉ぜぬのを、歌詠の大人は寛仁大度、柔かに教えるがごとく仰せられる。
それでも黙って俯向いていた。
鴨川はまた優しい声して、
(分りませんか、あのね、今才がそういったのはね、あちらに用があって行くから、あなた、そこにありますその団扇で、お客様を煽いで下さいと言ったんです。)
(はい。)
(分りませんか、あのね、今才がそういったのはね、あちらに用があって行くから、あなた、そこにありますその団扇で、)
お夏は堪らず団扇を持って、姫が羅の袂を煽いだのであった。
十七
「先生、惜いことをしました、同一杯回生剤を頂かして下さるのなら、先方へ参りません前に、こうやって、」
と麦酒の硝子杯を一呼吸に引いて、威勢よく卓子の上に置いた、愛吉は汚れた浴衣の腕まくりで、遠山金之助と、広小路の麦酒ホールの一方を領している。
「五六杯引掛けておきゃ、半分は酒が手伝って暴れてくれます、何しろしらふなんで、」といいかけて、迫った眉根を寄せたのである。