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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《三枚続(さんまいつづき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 頁

青空文庫

十四

お夏は翳していた日傘の柄を横に倒して熟と見たが、右手に商品陳列所の外囲が白ずんで、窓々の硝子がぼやけて見えるばかりか、蝉の声さえ地の下に沈んで、人気はなく、近づいて来る跫音もしない。もっともここに来る道で谷中から朝顔の鉢を配る荷車二三台に行逢ったばかりであるから、そのまま日傘を地の上へ投げるように置いて、お夏は吻といきをついた。

十四

腕にかけていた紫の風呂敷包は、輪を外して日傘の上。お夏は袂から手巾を出して、件の水に浸しながら、手を拭い、襟を拭い、胸を拭い、足を冷して埃を洗って、颯とあとを絞出したが、懐にせんも袂にせんも、びっしょり濡れているから、手巾をそのまま日傘の柄に持ち添えて、気軽に雪踏ちゃらちゃらと、鴨川が根岸の家へ急いだのであった。

鶯谷を下りて御院殿を傍に見て、かの横町へ入ると中ほどの鴨川の門の前に、二頭立の馬車が一台、幅一杯になって着いていた。

月に三度あるいは二度、十四から通うて二十の今まで、いわゆる玉の輿がこの門に在ることは、あえて珍しくはないのであったが、かくまで道を塞いで、縦に横附けになっていたのは、はじめて。

もとより豆腐売、油屋など、荷のある類はあらかじめこの一条の横町は使わぬことになってるけれども、人一人、別けて肩幅の細りした女、車の歯を抜けても入られそうに見えるけれども、