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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《三枚続(さんまいつづき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 頁
六
「そうです、恥を掻かしやがったんで、対手は女ですよ。」
「何、女に恥辱を、待て、質の好くない奴だ。」
ちょうど洗いましょうという処、金之助は膝を叩き、四辺を払って、ついと立った。
「や、先生も味方らしい、こいつあ、難有えぞ難有えぞ。」
六
戴いたのは新しい夏帽子、着たのは中形の浴衣であるが、屹と改まった様子で、五ツ紋の黒絽の羽織、白足袋、表打の駒下駄、蝙蝠傘を持ったのが、根岸御院殿寄のとある横町を入って、五ツ目の冠木門の前に立った。
「そこです、」と、背後から声を懸けたのは、二度目を配る夕景の牛乳屋の若者で、言い棄てると共に一軒置いて隣邸へ入った。惟うにこの横町へ曲ろうという辺で、処を聞いたものらしい。加茂川の邸へはじめての客と見える、件の五ツ紋の青年は、立停って前後をして猶予っていたのであるが、今牛乳屋に教えられたので振向いて、
「は、」と、頷くと斉しく門を開けて透して見る、と取着が白木の新しい格子戸、引込んで奥深く門から敷石が敷いてある。右は黒板塀でこの内に井戸、湯殿などがあろうという、左は竹垣でここから押廻して庭、向うに折曲って縁側が見えた。
一体いつもこの邸の門前には、馬車か、俥か、当世の玉の輿の着いていないことはない。