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せけんし

世間師

小栗 風葉

線上閱讀小栗 風葉《世間師(せけんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,390 字 · 36 頁

青空文庫

天井も張らぬ露きだしの屋根裏は真黒に燻ぶって、煤だか虫蔓だか、今にも落ちそうになって垂下っている。四方の壁は古新聞で貼って、それが煤けて茶色になった。日光の射すのは往来に向いた格子附の南窓だけで、外の窓はどれも雨戸が釘着けにしてある。畳はどんなか知らぬが、部屋一面に摩切れた縁なしの薄縁を敷いて、ところどころ布片で、破目が綴くってある。そして襤褸夜具と木枕とが上り口の片隅に積重ねてあって、昼間見るととても体に触れられたものではない。私はきゅうに自分の着ている布団の穢さが気になって、努めて起きでた。

私もそこにしてあるとおり、自分の布団と木枕とを上り口の横に積重ねて、それから顔でも洗おうと思って、手拭を持って階子の口へ行くと、階下から暖いうまそうな味噌汁の匂がプンと鼻へ来た。私はその匂を嗅ぐと、いっそう空腹がたまらなくなって、牽々と目が眩るように覚えた。外はクワッと目映しいほどよい天気だが、日蔭になった町の向うの庇には、霜が薄りと白く置いて、身が引緊るような秋の朝だ。

私が階子の踏子に一足降りかけた時、ちょうど下から焚落しの入った十能を持って女が上ってきた。