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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第六巻(「もくせい」ごうのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 頁
こうなると水害はもはや天災ということは出来ない。毎年発生する一種の年中行事として考える必要がある。そしてこの年中行事の度毎に、一つの河川だけからでも、数百億円あるいはそれ以上の損害を受けているのでは、日本の再建にはまことに大きな障害になる。
こういう現象は、何も北上川だけに限った話ではない。全国の河川について、多かれ少なかれ同様なことが起っているのである。例えば、天竜川は昭和二十四年の洪水を受けたあと、翌二十五年の六月にも、前年より更に大規模な氾濫を起している。また、昭和二十五年の六月中旬には、一週間にわたる梅雨のために、本州の半ば以上の各河川に出水をみている。幸い利根川その他の大河川の氾濫は、堤防が決壊する危機一髪のところで辛うじて食い止められたために、カスリン台風の時のような大きい騒ぎにはならなかった。しかし、それでも氾濫直後に建設省だけで二十億円以上、林野庁関係で三十億円以上の被害が報告せられている。
水害の立場からみると、敗戦後の日本の実情は、前にいった要路の人たちの杞憂が、不幸にして的中した形になっている。政府の人たちも国民も、労働問題、食糧問題、講和問題、選挙問題と、連日意味のない喧噪に明け暮れているうちに、われわれの国は、黙って一歩々々と破滅の道をたどっていたのである。