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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第六巻(「もくせい」ごうのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 頁

青空文庫

そして私を九谷の陶工にしようと思っていた。それで小学校を出たら、近くのK市の工業学校の窯業科に入れるつもりであった。私は中学校の方を希望していたのであるが、子供の頃から手工的なものが好きだったので、九谷の陶工になることも、そうきらいでもなかった。

それでもし父がずっと健在でいたら、今ごろ私は九谷の名工になっていたか、あるいは瀬戸物屋の番頭になっていたであろう。ところが小学校を卒業して一週間もたたぬうちに、父が病気で死んでしまった。それで急に工業学校は止して、近所の中学校の入学試験をうけることにした。父が死んだのだから、上の学校へ行かずに、家の業をついだらという話もあったそうであるが、とにかく試験だけは受けてみた。ところが案外成績がよかったので、まあやらせてみようということになって、寄宿舎へ入れられた。五年間の寄宿生活の思い出のうちで、一番頭に残っていることは、食事がまずかったことである。体格は五か年間「丙」で通した。しかしそのおかげで、敗戦後のひどい食糧事情の時でも、案外平気ですごしてきた。

ところでへぼ物理学者になるのと、九谷の名工になるのと、どちらがよかったかは分らないが、とにかく私が生涯物理学をやることになった第一の原因は、父が早く死んだからである。